電気工事士の皆様、日々お仕事お疲れ様でございます。
皆様が普段、電安法のことをどのくらいお考えなのかは分からないのですが、
電気工事士はPSEマークがあるものしか使えない(?)
という噂話があるようなので、ここで解説したいと思います。
先に結論を書きますが、これは誤りです。もしもそれが本当なら、電気工事士は定格消費電力が1.5kWを超える電気ポンプや、40Wを超える蛍光ランプを現場で据付けることができない、なんてことになってしまいます。導体の公称断面積が22スケアを超える太さのケーブルや、線心が7本を超えるケーブルも使えません。他にもいろいろと使えないものがあります。オカシイでしょう。
どうしてそんな噂話が生まれたのでしょうか。原因はおそらくコレです。
◯電気用品安全法 第二十八条
電気事業法第二条第一項第十七号に規定する電気事業者、同法第三十八条第三項に規定する自家用電気工作物を設置する者、電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第二条第四項に規定する電気工事士、同法第三条第三項に規定する特種電気工事資格者又は同条第四項に規定する認定電気工事従事者は、第十条第一項の表示が付されているものでなければ、電気用品を電気事業法第二条第一項第十八号に規定する電気工作物の設置又は変更の工事に使用してはならない。
「第十条第一項の表示」というのはPSEマークのことです。つまりコレを読んだ人が、電気工事士はPSEマークの無いヤツは使ったらいかんのだ!と勘違いしたのだろうと想像されます。
上に書いた第二十八条、赤字のところに「電気用品」って書いてありますね。よくよく考えれば、普段我々が話している日常語としてはあまり使わないような気もする「電気用品」という言葉。法律の名前にも堂々と入っているわけですが、これは一体何なのでしょうか。
◯電気用品安全法 第二条
この法律において「電気用品」とは、次に掲げる物をいう。
一 一般用電気工作物(電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十八条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。)の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であつて、政令で定めるもの
二 携帯発電機であつて、政令で定めるもの
三 蓄電池であつて、政令で定めるもの
つまり、電気を使って動作する電気製品やその中に入ってる部品が、何でもかんでもPSEの対象ってわけじゃないんですね。
・PSEの対象となるのはリストに載ってる「電気用品」のみ。他は知らん(←ココ重要!)。
・リストに載ってても、意味の分からん例外が山ほどある(←コレ超重要!)。
・対象か対象外かは、製造事業者(輸入品は輸入事業者)が責任持って自分で判断して。
・判断がつかない場合は経産局にたずねてもまあ良いけど、その回答に法的拘束力は無いよ。
というわけで、冒頭の噂話は誤りで、正しい理解はコレです。
電気工事士は
PSEの対象品については
PSEマークがあるものしか使えない
なお気をつけていただきたいのは、対象外品を使う際には、PSEマークが表示されていないことを確認してください、という点です。厳密にそこまで確認している電気工事士はあまりいないものと思いますが、電安法の第十条や上記の第二十八条あたりの解釈から言えることです。特に対象か対象外かが微妙な製品については、カタログや現物の見た目だけでそれを判断するのは難しいものと思いますので、そういったよく分からない製品については、購入元、あるいはその製品の製造事業者(輸入品は輸入事業者)に、
これはPSEの対象だからPSEマークを表示しているんですね?
これはPSEの対象外だからPSEマークを表示していないんですね?
と問い合わせてみてください。
対象品の場合は、適合証明書(特定電気用品の場合)もしくはテストレポート(特定電気用品以外の電気用品の場合)を持っているはずなので、それを入手できればベストです。PSEマークの無い対象外品の場合はそういう文書的なモノが何も存在しないケースがあり得るので(その事自体は問題ではない)、対象外であると判断した根拠をきちんと説明してくれるかどうかがポイントです。下記のような説明をするところは注意が必要でしょう。
・同業他社の製品にPSEマークが無いので、うちのも対象外です。(他社のと違いは無いの?)
・経産省に聞いたら対象外だと言われたから、対象外です。(自分で判断しないとね)
・は?うちのは対象外ですよ。(文句あるんですかと言わんばかりに電話ガチャ切り)
・え?業務用なんで対象外です。(業務用が対象外とは限らない)
・え?電安法に関係するんですか?(法律の名前は知ってるけど中身は知らない)
・え?電安法って何ですか?(一般消費者向け製品の輸入事業者によくある)
製品安全・PSEコンサルタント
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待ちに待った(?)電安法の解説本
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